「大泉寺 成道会 鹿野苑のつどい」を開催いたしました。
「大泉寺 成道会(じょうどうえ) 鹿野苑(ろくやおん)のつどい」では、ご法要と合わせて、私たちを取り巻く社会について学ぶ会を開催しております。
本年の「鹿野苑のつどい」では、2011年3月11日の東日本大震災に伴う原発事故をきっかけに当時4歳だった娘さんとご実家のある相模原に自主避難している鹿目久美さんのお話しをうかがいました。
震災当時から自主避難に至るまでのこと。現在の避難者を取り巻く補償のことや、考え方や立場の違いから起きている分断について。また、現在「母ちゃんず」の一員として取り組まれている福島の子どもたちの保養キャンプ(※)のことなど、様々な角度からお話しをうかがうことができました。
たくさんのお話しの中で鹿目さんが何度もおっしゃられたのは「何よりも大切なのはいのち」だということです。
その「いのち」を大切にする社会のために、そして子どもたちの未来のために、大人の私たちがどう応えられるのか、日々の生活の中で「いのち」を見つめる視点で考えていくことが重要なのではないかと投げかけてくださいました。
鹿目さんが見せてくださったビデオの中から、先日フランシスコ・ローマ教皇が来日した際に避難者の代表としてメッセージを読み上げた高校生が小学5年生の時に発したメッセージを紹介します。
『僕たちは原発事故によってたくさんのものを無くしました。自分の家や家族の笑顔、沢山の楽しいことがみんな消えてしまいました。こんなことを二度と繰り返さないために、どうか僕たちが政治を動かせる日までこの国を守っていってください。そして、僕たちに原爆も原発もない安全な未来を渡してください。僕たちがそれを引き継げるように一生懸命勉強してついてゆきます。よろしくお願いします。』
彼の声に私たちはどう応えられるか、どのような日々を過ごすべきなのかを、このメッセージに問い直されました。
12月8日はお釈迦さまがお悟りを開かれた日、成道会(じょうどうえ)です。
お釈迦さまの教えを日々の社会生活に活かすことが、今を生きる私たち1人ひとりにできるお勤めなのではないでしょうか。
※保養キャンプ
「保養キャンプ」は、短期間でも線量が高い場所を離れることで、体内に取り込んだ放射性物質が排出されるなど、心身のリフレッシュ効果が期待されています。放射線の影響を心配して外遊びが制限されている子ども達には、体力回復や免疫力の増加もあると思われます。(「母ちゃんず」HPより)
「鹿野苑のつどい」講演会風景(右手奥が鹿目久美さん)
成道図(お釈迦さまがお悟りを開かれたときの様子。)