大泉寺通信「せせらぎ」を発送しました。
大泉寺通信「せせらぎ」第5号を発送いたしました。
ご遠方やご体調、また昨今の社会状況により、なかなかお寺にいらっしゃるのが難しい檀信徒の皆さまに、お寺の様子が少しでも伝わればと思いながら作っています。
中面をダウンロードすることもできますので、皆様にもお手に取ってご覧いただければと思います。
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〈「せせらぎ」1面より〉
「みんな お寺に来てほしい」
コロナウイルス感染症が蔓延する今の時代には合わない言葉かもしれませんが、これは令和3(2021)年度の曹洞宗の取り組みのキャッチフレーズで、昨年から始まったSDGs(エスディージーズ-国連が定めた持続可能な開発目標)の取り組みの一環として、また現代の多様化する社会に向けたメッセージです。
曹洞宗では「人権・平和・環境」をテーマに施策を、また全日本仏教会もSDGsへの取り組みも進めています。そこで本年は特に障害のある方への配慮を教団をあげて推進していこうという取り組みも始めていくことにしました。実は曹洞宗ではかつて社会風潮に迎合しながら「悪業」などの教義を持ち出し、身体的、精神的な障害やハンセン病などの疾患のある方々を不当に差別、排除してきた歴史を持ちます。この反省の上からも私たちは今、過去の反省からなる「学び」だけでなく更なる一歩を踏み出していく責任があると考えています。
「お寺やお墓参り、ご法要に行きたくても遠慮してしまう」ということは障害のある人に限らず、ご高齢の方やお子さん連れ、妊娠中の方などにも言えることかとも思います。現代の社会状況の中で、特に障害のある方に関わる課題として「インクルーシブ(個々の特性や魅力が十分に反映されながら包み込む・全体をまとめる)であること」も大切なことであるとの認識があります。
「人人悉道器(にんにん ことごとく どうき)」とは曹洞宗の本山の一つである總持寺を開かれた瑩山禅師のお言葉です。これは「どんな人でも、誰でもが同じように可能性に満ちた、その『いのち』を精一杯生かしていくことが出来るだけの器である」という意味です。ならば、すぐにでもバリアフリーの工事などが出来れば良いのですが、大きな事業は土地の確保や多額の経費がかかることなどから直ちに進めることは難しいのが実情です。
「では、何からなら出来るだろうか?」と考えたところ、先ずは障害がある方をはじめ、ご高齢で車いすなどを利用されている方、お子さん連れや妊娠中の方のお参りなども含めて、お寺に来られることに困難を感じている方々の声を聞き、一緒に悩み考える姿勢を発信し、先ずは「心のバリアフリー」を推進することを目指していこうと思いました。
「わからなくても、わかろうとしていることを伝えることは出来ますよ」。
これは先日、八王子市仏教会が開催した行事で女優であり障害者アートの支援や一般社団法人代表も務められる東ちづるさんから直接頂いたアドバイスでした。
「みんな お寺に来てほしい」
だから今、皆さんの色いろな声を聞かせてほしいのです。
大泉寺住職 久保井賢丈