お知らせ

2021年3月11日14時46分銘鐘

 

本年も14時46分に鐘を鳴らし、梅花講の皆さんと法要をお勤めいたしました。

東日本大震災から10年が経過いたしました。また、それによる福島第一原発の事故からも10年となります。各地で追悼の法要やイベントなどが催されています。

大泉寺としても例年は震災以降、深くご縁を結んできた宮城県の被災寺院における追悼のご供養会のお手伝いに梅花歌講の皆さんとともに行っておりましたが、今年は折からの社会状況を考え、東京から思いを届けました。

そのお寺さんも昨年10月にやっと新しい本堂の再建がなされたところです。震災から10年が過ぎて、やっと成し遂げることが出来ました。とはいえ、仏具なども揃っておらず、処理しなければならない寺務などがあるそうで、もう少しご苦労が続くとのことでした。

私としては、この10年、被災地に足を運ぶたびに、被災された方々から、お手伝いに行ったにも拘わらず、むしろ学ばせて頂いたことの方が多かった、と思いを巡らせています。この学ばせていただいたことを一つでも多く、これからの自分の生き方や、お寺の在り方などに生かしていくこそが亡くなった皆さんのご供養になると、また被災した方々の力になると信じ、改めて、心に刻みつけているところです。

先日も東北地方を中心に震災の余震とされる大きな地震がありました。福島のお寺のご住職に電話を入れて、安否を確認すると、石灯籠やお墓に被害は出たが、大きな被害や命の危険は無かったとのことでした。

その方は震災、原発事故の時から、福島で被災寺院のサポートの中心になられていた方です。
「もうすぐ、原発事故から10年ですね。生活や状況に変化って、ありましたか?」と聞くと
「ナンにも変わってないよ」との一言を返されました。

風景や生活に少しずつ変化はあっても、未だに自分の家にすら帰れない人も多く、心の傷がいえない人も多い。原発事故の処理もまだまだ先が見えません。

今日、被災地から離れた私たちの日常の中では、折からの感染症という新たな脅威もあり、徐々にその記憶が薄れてきているようにも感じます。しかし私たちが震災の記憶を風化させないこと、「まだ終わっていない課題」から目を逸らさないことも大事な支援活動であると思います。

受け止めきれぬほどの悲しみを、受け止めきれなくとも、受け止め続けようとしていくことも大切な勤めなのです。

本年も14時46分に鐘を鳴らし、梅花講の皆さんと法要をお勤めし、改めて、被災地の今を思い、手を合わせました。

大泉寺住職 久保井賢丈

 

 

大泉寺御詠歌講の皆さまによる梅花流詠讃歌

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