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祈祷 ~いのちの危機の時代に~

大本山永平寺ホームページにて、貫主様であられる福山諦法禅師よりメッセージが発せられました。

 

祈祷 ~いのちの危機の時代に~

21世紀、グローバル化によって更なる進歩と発展を勝ち得たかに見えた世界は、短期間に地球上に拡散したウイルスに、思わぬ脆さを露呈してしまいました。
新型コロナウイルスという未知の感染症が猛威を振るう直中(ただなか)、治療の最前線にあって身命を賭(と)して医療に従事されている方々の努力にもかかわらず、数多(あまた)の人々が病に伏し、万を有に超える尊い命が失われ、今、人々の日常生活は、ウイルス感染拡大という目に見えぬ恐怖の中にあります。
“いのちの危機の時代”に立ち、人間とはかくも脆いものであったのか、と思うのは老衲ばかりではないでしょう。
しかし、歴史を振り返って見ますと“いのちの危機の時代”は現在(いま)だけのことではありませんでした。紛争や暴力、自然災害等、常に危機の中にありました。とりわけ「病」に着目すれば繰り返し感染症の災厄に見舞われ、その都度、人類は智慧と力を結集して克服してきたのです。
永平寺御開山道元禅師は「生死はほとけの御いのちなり」と宣揚されました。
「不可思議な御縁の中で与えられたいのちを、“仏のいのち”として生き切りなさい」とお示しなのです。
現代社会における物量、利便性、スピードに重きを置いた進歩と繁栄が、この危機克服に苦慮するならば、“縁”という共存の中に在るいのちを見据え、いのちを仏のいのちたらしめるためにどう生きるかという根本に戻らねばなりません。人類は、今までも暗闇の中に光を見出してきたのです。立ち行かぬ困難の中に在るからこそ、我見(がけん)・我欲(がよく)を捨て、人心を一(いつ)にして手を取り合い、仏法を灯として感染症拡散の暗夜を歩んでいこうではありませんか。
永平寺では、4月23日から29日までの高祖大師報恩法会において、人々が大難を小難に変える智慧を発揮してくださり、世界が安寧を取り戻すことを冀(こいねが)い、萬国の疫病退散と人々の病気平癒、そして尊い命を亡くされた御霊の安らかならんことを至心(しいしん)に祈祷(おいのり)いたします。
共に“仏のいのち”として生きる者として、心を合わせて参りましょう。

【公式サイト】永平寺ホームページより

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