大泉寺通信「せせらぎ」を発送しました。
大泉寺通信「せせらぎ」第7号を発送いたしました。
中面をダウンロードすることもできますので、皆様にもお手に取ってご覧いただければと思います。
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〈「せせらぎ」1面より〉
生まれてきてくれて、ありがとう
大泉寺にお参りになられる際に、急な坂道を登ってこられる方も多いかと思います。その坂道に沿って植えられていた桜の木を切ることになりました。皆さんから親しまれてきた桜の木々を切ることにはとても抵抗がありましたが、寿命もあり、台風の時期には倒木の危険も非常に高いとのことで決断いたしました。
4月8日は「釈尊降誕会」、お釈迦さまの誕生を祝う行事です。「はなまつり」と言った方が親しみがあるかもしれません。誕生日を祝うことは、誰であれ素敵なことです。それは、この世にたった一つの「あなた」の「いのち」が生まれた記念日だからです。お釈迦さまがお生まれになった際におっしゃられたという「天上(てんじょう)天下(てんげ)唯我独尊(ゆいがどくそん)」とは、正にこうした意味のお言葉です。このお言葉は「この宇宙より大きな世界の中で、『私』という『いのち』はたった一つの尊いものだ」と解釈されます。それは「どんな『いのち』も同じである」はずです。
でも、どうでしょう?私たちは、このたった一つの尊いはずの「いのち」が、この世界では決して平等ではないことも知っています。私たちは生まれる場所も、死ぬ場所も、時間も方法も選ぶことは出来ません。中には戦争や災害などによって不条理に奪われてしまう「いのち」、生まれによって不当な差別を受ける「いのち」もあります。そして、生まれたことを喜んでもらえない「いのち」さえもあるのです。だからこそ、私たちは全ての「いのち」に生まれてきて「おめでとう」と言えるような、そんな世界を作っていかなければならないと思います。
こういうと「理想主義だなぁ」という方もいるかもしれません。でも私は「宗教は究極の理想主義で構わない」と思っています。何故ならそれを語れるのは宗教だけだからです。そして、そう語り続けるためにも、この現実をしっかり見つめ続けなければならないとも思います。その究極の理想主義の一つがお釈迦さまの「天上天下唯我独尊」というお言葉に表れています。
「あなたという『いのち』はたった一つだ。あなたの代わりになる人はどこにもいない」。こんな単純なことさえ忘れ、もしくは教えられることすらないのが、この世界です。だからこそ、それを忘れずに心に刻む日が「はなまつり」です。そして「生まれてきてくれて、生きてくれて良かった」、そんな思いを大切な人たちに伝える日でもあるように思います。4月8日は、それを教えてくれた方のお誕生日です。
大泉寺の春を彩ってくれた桜の木々にも、切る前に心からのご供養を致します。毎年、一生懸命、美しい花を咲かせてくれてありがとう。生まれてきてくれて、ありがとう。
大泉寺住職 久保井賢丈
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